映画「ターミナル」感想&考察(ネタバレありとなし) 空港で待ち続けるトムハンクス

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国を失った主人公は、

空港から出ることも、帰ることも許されない──

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

今回は、トムハンクス主演、スピルバーグ監督で贈るハートフルコメディ映画「ターミナル」をご紹介します!

 

 

実在した「待ち続けた男」

 

 

クラコウジアからやって来た男性・ビクター(トムハンクス)は空港で国境警備局主任のディクソンに呼び出される。

空港から出られない」ことを伝えるディクソンでしたが、言語の違いから通じず。部屋を出、テレビを見ると、そこにはクーデターにより崩壊した母国・クラコウジアの様子。ビクターはようやっと「帰国できない」ことを知る……どころか、アメリカへの入国すら出来ない状態に陥ってしまう。

 

彼は空港内で寝泊まりしながら、ひたすら待ち続けることに──

 

という、何ともあり得そうなお話(汗)

それもそのはず、本作は実際にあった出来事を基に制作されています。

モデルはイラン人男性・マーハン・カリミ・ナセリ。彼はビクターよりも長い15年以上という月日を空港内で過ごしたそう。その模様を記した著書「ターミナルマン」が、本映画の原作となっています。

 

あり得ないほどの人の温かさ

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

空港内で寝食する異国の男。

怪しさ満載だし、周囲から冷遇されて生きるしかない……のが現実な気がしますが、本作に出てくるビクター周りのキャラはとにかく温かい!

 

最初に登場するのはフードサービスで勤務するエンリケ・クルズ。

彼はビクターに対し「腹いっぱい食べさせてやるから、頼みを聞いてほしい」と依頼。その内容は「入国係の女性・ドロレスに、何が好きか、何に興奮するのかを聞いてほしい」

 

入国窓口に行くビクター。

黒人女性のドロレスに毎日質問する生活が始まります。

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

ドロレスも嫌がるそぶりはなく「面白い人ね」とケラケラ。めっちゃイイ人じゃん、こりゃ好きになるわ(笑)

 

こうして、エンリケ・ビクター・ドロレルという奇妙な友情関係がスタートします。

 

ビクター、人気者になる。

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

中盤。ビクターに威圧的な態度を取り続けていたディクソンが、彼に助けを請います。

 

「英語の通じない男が暴れてる。通訳してほしい」

 

取り調べ室前の廊下では、袋を持ち喚く男性の姿。

ヴィクターは通訳によって「彼が重病の父親のためにこの薬を持ち込まなくてはならないこと、なのに没収されそうになっていること」をディクソンに伝えます。

 

「父親のための薬」ということなら没収対象になる、とディクソン。

有無を言わさず男を連行。ビクターにしがみつく男を引き剥がし、警備官たちは彼を廊下の奥へ──「ヤギだ」とビクター。振り返るディクソン。立ち止まる警備官。「ヤギの薬だ。父親という言葉に聞き間違えた。ホントはヤギの薬だ」ヤギのためであれば持ち込み可という規則を思い出したビクターは機転を利かせます。

 

しかし、その意はディクソンにはお見通し。

本人に聞く。本人が言わないなら、連行

男に尋ねるディクソン。男に目配せするビクター。しかし、男は何も答えず。

 

「連れていけ」

ディクソンの言葉と同時に男は再び引きずり去られ──た瞬間、

 

ヤギダ

 

男はビクターを見つめ、叫びます。

ヤギノクスリ!ヤギノクスリ!

離してやれ、とディクソン。泣きながらビクターに抱き着く男。

 

ディクソンはビクターの襟元を掴み、コピー機の前へ。

「これはゲームか!」と怒鳴るディクソン。ビクターの手のひらのコピーが用紙として吐き出されていく。その様子を眺める重役たち。重役の存在に気付き、慌てて手を離すディクソン。彼の思い描く「出世」が遠のく結果に。

 

後日。空港の清掃員・グプタ・ラハンは、空港員らを集めその事件を語ります。

「その男を救った人間ってのは、いったい誰なんだ?」

ラハンは笑みを浮かべ、「手のひらのコピー」を掲げ、「ビクターだよ!」と伝えます。

 

翌朝。ビクターがエレベーターを降りると、お店の人たちが彼を温かい目で見つめたり、笑顔を振りまいたりと、ビクターに対する姿勢が明らかに変わっている(笑)お店のあちこちに飾られているのは、ビクターの手のひらのコピー。彼は一夜にして「空港イチの人気者」になったのです。

 

この展開がもう最高!

ビクターの鮮やかなちゃぶ台返しも爽快だし、それを受けての空港民のピュアすぎる反応も楽しい。この下りは脚本の巧さとスピルバーグの演出力が光る名場面。ごちそうさまです!

 

待ち続ける人々

 

本作ではビクターの他にも「待ち続ける人」が登場します。

例えば、清掃員のラハンは母国インドで殺人未遂を犯したため、家族を置いて国外逃亡し、この空港で時効が過ぎるのを待っています。

 

客室乗務員のアメリも、待ち続ける人々のひとり。

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

端正な顔立ちゆえ、いくつもの男性と恋に落ちている彼女。生涯をともにしたい男性と出会うも、彼は婚姻済。別れてアメリアと暮らすと約束するも、なかなか離婚してくれず、アメリアは待ちぼうけの日々を送っています。

 

ある日、ひょんなことから出会ったアメリアとビクターは歴史の話で盛り上がり意気投合。恋に落ちたビクターは彼女を食事に誘います。

 

エンリケやラハンの力を借り、空き部屋を即興レストランに改造。

美しく着飾ったアメリアの手を持ち、ビクターは二人席へ誘導します。

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

互いを見つめ、食事するふたり。そこへ、アメリアの「呼び出しブザー」が鳴ります。仕事に行かないと……と立ち上がるアメリアでしたが、ふいにビクターのほうを向き、「いいこと思いついた」

 

ふたりはブザーを海へ投げ捨てます。

「待つ」という束縛から解放されたふたり。ですがどこか虚しい。

ブザーを投げたところで、今の状況は変わらない。「待つ」ことを放棄した後は「行動」しなければならない──ビクターの心にそうした意識が芽生え始めたことを示唆する場面です。

 

いざ、外へ!

 

※以下、ラスト含めネタバレします。

 

その後、クラコウジアの紛争が終焉したことを告げるニュースがテレビに流れます。歓喜するビクターに、アメリアは一枚の紙を渡します。それは、一時的なアメリカへの入国を許可する用紙。アメリアが恋人のコネで持ってきたものでした。

 

勇み足で入国窓口へ向かうビクター。

ですが、許可は下りず。「責任者の署名が必要」とのこと。

その責任者とは、ディクソン。

彼の許へ向かうビクターでしたが、ディクソンは署名を拒否。

何としてでもニューヨークへ行くことを告げるビクターに対し、ディクソンはラハンの殺人未遂を知っていることを告げ、外に出れば公表すると脅します。

 

渋々クラコウジアへ帰ることを決めるビクター。

彼の前に立つラハン。

「あんたは腰抜けだ。ニューヨークがここまで近づいているのに、あんたは踵を返して去っていく。あんたは腰抜けだ!

悲しげな表情で去るビクター。

 

その後、ラハンは警備官から「ビクターが脅されていること」を聞きます。

 

クワコウジア行の便へ向かう道すがら、ビクターは人だかりを発見。

窓の外を見ると──そこには、迫りくる飛行機へモップ片手に走るラハンの姿。

モップで飛行機を止めるラハン。彼はビクターのほうを振り返ります。

 

わしは国へ帰る!あんたも出てけ!

 

警官に囲まれるラハン。口癖である「予約はとったか?」を告げ、モップを放ります。

 

ニューヨーク行きの出口へ走るビクター。

お店の人々はそんな彼を祝福します。

 

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(C) 2004 DREAMWORKS LLC

 

私たちのこと忘れないでね!」と叫び、プレゼントを手渡す彼ら。いよいよ出口へ……という瞬間、彼の前に警備官たちが立ちはだかります。

 

「すまんなビクター。ディクソンからの命令なんだ」

モニターを眺め、笑みを浮かべるディクソン。「取り押さえろ」と警備官の一人に命じます。

 

警備官はビクターに近づき、「後ろを向け」

後ろを向くビクター。警備官は自分の上着を脱ぎ、彼に羽織ります。

外は寒いぞ

 

警備官の間を通り、ニューヨークへ出るビクター。

タクシーに乗り、雪降る街のなかへ消えていきます。

 

ラストシーンの必要性

 

人はみな、待ち続けている。

行動も大事だが、時には待つことも必要。

 

こうした不変のメッセージを伝えてくれる、スピルバーグの名作映画でした。

 

しかし、不満点もあります(汗)

 

それはタクシーで去った後の、ジャズ奏者とのシーン。

「ビクターが最後の一人にサインをもらう」という、物語上は重要な場面なんですが、タクシーで去った瞬間にそれ以降の場面は想像出来るので、別にいらないんでは……と思ってしまいました。

 

これ、同じくスピルバーグ監督作品である「未知との遭遇」が宇宙船に乗り込むラストで終わっていたのと対照的ですよね(因みに完全版では船内に入って以降のシーンがあります)

 

ターミナルも同じように「こっからは想像してください!」で終わらせるほうが粋だったンでは?と思ったり……

 

という不満はあるにはあるものの、総じて名作です。

もし未鑑賞の方は、是非鑑賞くださいませ!

 

 

以上、映画「ターミナル」レビューでした!

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