シュワルツェネッガーという男 Vol.3 暗黒期からの復活

〜という男
〜という男 映画
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Vol.1「発展途上期」はこちら↓

 

Vol.2「黄金期」はこちら↓

 

 

トゥルーライズ キャメロンとシュワの再来

 

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ラストアクションヒーローで大いにコケたシュワが再起を図るために挑んだのが本作「トゥルーライズ」。

 

監督はターミネーターを手掛けたキャメロン。

売れないわけがない作品でした。

 

妻や子にも正体を隠し、家族思いの父親と凄腕の秘密諜報部員という二重生活を送るヒーローの物語。

 

原作は1991年のフランス映画『La Totale!』。

この作品を観たシュワがキャメロンにリメイクを持ちかけ、製作が実現。

製作費は当時破格だった1億ドルでした。

 

で、本作は目論見通りヒットします。

ラストアクションヒーローの汚名を本作で辛うじて払拭することが出来たのです。

 

ジュニア シュワ、妊娠する。

 

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次にシュワが主演したのは、男が妊娠してしまったら……というコメディ映画「ジュニア」。

監督はツインズやキンダガートンコップのアイヴァンライトマン

「黄金コンビ再び」と、上映前から期待値はかなり高かったそうです。

 

あらすじは以下の通り。

 

ラリーとアレックス(シュワルツェネッガー)は新薬の研究をする博士コンビ。ひょんなことから自分の体で人体実験をしたアレックスは妊娠してしまう。

途中で止めるはずだったが、実験に使った卵子が、アレックスと恋に落ちたダイアナのものだったことが判明し、子供に愛着を持ち始める2人。アレックスは子供を産もうと決意する。(映画.comより引用)

 

賛否分かれた意欲作

 

私が本作を観たのは高校時代。

ツタヤであらすじを読んだ時に最初に思ったのは、

なんでこれを作ろうと思ったんだろう……

ということでした。

 

ムキムキのシュワの腹がぽっこり膨らんだパッケージ写真……。

誰が……喜ぶんだろう……

 

評価はかなり低く、Rotten Tomatoes(米の映画情報サイト)では31%となっています。

北米での興行収入は製作費6000万ドルに対して3700万ドルと赤字で終わりましたが、世界興収ではシュワ人気もあり1億ドルを超えました。

 

……と、こんな感じで不評一辺倒な印象の作品ですが、

内容的には意外に面白く、ハートフルコメディとしての出来は悪くないです。

 

では、何故ここまで評価が芳しくないのか。

 

大きな理由は、設定の不気味さです。

アーノルドシュワルツェネッガー卵子を入れる~だの、シュワが「乳首が痛い」を喚くだの、果たして誰が観たいのかわからない趣味の悪いシーンが連発します。

しかもそれがブラックコメディのような演出ではなくハートフルな体をとった雰囲気。

このいびつな内容が、観る人を選ぶ作品に仕上がってしまったのでしょう。

 

イレイザー

 

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その次に主演したのが「イレイザー」。

 

重要証人の命を守るために、彼らの人生を跡形もなく抹消する。それが「証人保護プログラム」執行官の任務。中でもジョン・クルーガーは、鮮やかな仕事ぶりから”イレイザー“の異名を持つ男だ。

一方、FBIに協力し、自社が企む最新鋭スーパー兵器レール・ガンの密売計画を摘発しようとするリー・カレン。彼女を守るために決死の闘いに挑むジョンと、彼に信頼の全てを寄せるリーは強い絆で結ばれていく。

壁も貫くレール・ガンの銃撃戦、息詰まる空中戦など肉体の限界を超えたハード・アクションが炸裂! 

Amazonより引用)

 

こちらはTHE90年代アクション映画!といった感じで、

コマンドープレデターが好きな人には必見の作品です。

 

かくいう自分もけっこう楽しめました。

 

ジングルオールザウェイ

 

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アクションとコメディを交互に主演しているシュワですが、

今回もそのレールに洩れず、コメディファミリームービーに主演します。

 

タイトルは「ジングルオールザウェイ」。

シュワ演じる父親が子どものために人気おもちゃを買うため奮闘する……という筋書き。

 

本作はゴールデンラズベリー賞ラジー賞最低監督賞を受賞しています。

が、今作もジュニア同様、評判ほど悪くはない、コメディ映画の佳作だと思います。

 

バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲 シュワの演技にみんながフリーズ

 

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というわけで、トゥルーライズでの挽回以降、

シュワ映画は下火傾向が続いていきます。

 

そんなシュワが次に選んだ作品は、なんと「バットマン」。

悪訳であるミスターフリーズを演じることになります。

 

ターミネーター以来の悪役。

主演以外の出演。

意外なシュワの一手にファンは驚いたことでしょう。

 

さて、その一手ですが……結果は失敗に終わります。

 

バッドマンの黒歴史、誕生

 

「バッドマンフォーエバー」の続編として製作された本作。

フォーエバーが大ヒットしたことを受け、前作のファミリームービーの側面を更に拡大させた仕上がりとなっています。

 

ティムバートンが監督したシリーズ1作目「バッドマンリターンズ」の世界観が好きだった私にとっては、2作目以降の明るめな雰囲気はちょっとザンネン……という気持ちでした。

前作のフォーエバーがヒットしたのは「リターンズが面白かったから引き続き見に行こう」というファン層のおかげなんでは?と思っていた節があったぐらい。

 

結果的にこの作品は興行面でも批評面でも惨敗。

ゴールデンラズベリー賞では数々の部門を受賞することになりました。

 

その異様なまでの否定ムードに耐えきれず、監督が謝罪声明を出すほど。

 

「もしこれを見ている人で、前作『バットマン フォーエヴァー』が好きで、その期待のまま『バットマン & ロビン』を観てしまい、失望した人がいるなら、本当に謝罪したい。そんなつもりではなかったんだ。ただみんなに楽しんでもらいたかっただけなんだ。」ジョエル・シュマッカー監督の謝罪 (Wikipediaより引用)

 

別にそこまでしなくても……と、けっこう同情的になるんですが、

バットマンとロビンのコスチュームに乳首が付いていたりと、擁護出来ない意味不明設定があるのも事実なので、まあ、謝罪も然るべきなのかなあと思ったり……

 

バッドマンシリーズのなかでは黒歴史として刻まれています。

 

シックスデイ

 

バッドマンの後、シュワは「エンドオブデイズ」という作品に主演するんですが、

 

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語りしろのあまりない、微妙……な映画のためここでは省略いたします。

 

で、その次に主演したのがこの「シックスデイ」。

 

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シュワは製作も兼任しています。

 

あらすじは以下の通り。

 

2010年。生命科学の進歩はクローン人間を作り出すことをも可能にしていた。ただし、実際には法律で禁じられた行為であった。

神による人類創造にちなんだ“6d法”によって。チャーター・ヘリのパイロット、アダム・ギブソンはある日、家に戻るとそこにはもうひとりの自分がいた。それはアダムのクローンだった。そしてその時、驚いているアダム自身を謎の4人組が襲撃してきた。( Yahoo映画より引用 )

 

「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」を観た時、最初に思ったのは、「これ、シックスデイじゃん……」だったんですよね。

主人公が父親なところや、終盤敵対していた主人公とクローンが家族のために力を合わせる下りや、終盤のビックリ展開など、共通項のたくさんある作品です。

 

巷では「トータルリコールを薄めただけ」という評判もありますが、

しんちゃん映画にも影響を与えてるだけあって、なかなかどうして面白いです。

 

終盤、シュワとシュワが力を合わせる下りも楽しいです。

シュワファンとしては同じ画面にシュワが二人いるだけでアガってしまいます。

シュワ……シュワ…シュワシュワシュワ……!

 

もちろん、演出や物語はトータルリコールが格段に上なのですが、

90年代SFアクション映画が好きな方には間違いなく楽しめる作品です。※Netflixで見れます!

 

コラテラルダメージ

 

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次が本作「コラテラルダメージ」。

監督は「逃亡者」を手掛けたアンドリュー・デイヴィス。

 

あらすじは以下の通り。

 

ロサンゼルス消防庁の消防隊長を務めるゴーディー(シュワルツェネッガー)は、ダウンタウンの高層ビルの1階にあるカフェで妻と幼い息子を待たせていた。時間に遅れたゴーディーが駆け付けたとき、突然爆発が起き、彼の目の前で最愛の妻と子どもが死んでしまう。ゴーディーは爆発直前に犯人を目撃、その情報を当局に知らせる。だが、やがてゴーディーは政府に犯人を捕らえる意志がないことを知る。そこには、国家の目的のために多少の犠牲はやむを得ないという“コラテラル・ダメージ”の考えが働いていた。国家に裏切られたゴーディーは、ついに自らの手で犯人への裁きを下す決意をする。( Yahoo映画より引用 )

 

本作の特徴は、緊迫感ある演出です。

逃亡者や沈黙の戦艦を手掛けた監督だけあって、手に汗握る演出は見事です。

 

そして、シュワ映画として新しい点は「勝っても勝たなくても救われない」ところ。

たとえば、コマンドートゥルーライズなら勝てば娘を救えたし、ターミネーター2なら勝てば少年を守れたわけです。

しかし今回は既に妻子は死んでいて、その復讐のために奮闘するため、勝ったところで何も救われることはない……という、なんとも切ない物語。

 

この作品への出演を決めた背景には、

  1. スタローンへのライバル意識
  2. 演技派への憧れ

があったと踏んでいます。ひとつずつ説明していきます。

 

スタローンへのライバル意識

 

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「エイドリアーン!」でご存知、ロッキーで一躍スターとなったシルヴェスタースタローン。

彼はロッキーに次ぐキャラクターを生み出しました。

それが、「ランボー」。

戦争に翻弄されながら孤独に戦い続ける彼の姿に観客は心を掴まれ、人気シリーズとなっていきます。

 

当時人気も下火、かつ、アイコンキャラであったターミネーターも2以降製作されていない……というなかで、スタローンのランボーのような社会はアクション映画で挽回を図ったのではないでしょうか。

 

演技派への憧れ

 

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本作以前のシュワというのは、アクションやコメディといったジャンルムービーに出演しており、「演技」それ自体を深く求められることはありませんでした。

故に、演技派への憧れから、本作のような複雑かつ切ない過去を持ったキャラクターを演じてみたかったのではないでしょうか。

 

近年では「アフターマス」や「サボタージュ」など重厚なドラマ映画で渋いキャラを演じているところを見ると、彼のなかに演技派への憧れが常々あったように感じます。

 

 

……と、つらつら書いてきましたが、

本作はシュワ主演のなかでも意欲作、かつ充実した内容になっているため、おすすめです。

 

ターミネーター3からエクスペンダブルスへ

 

下火な炎が再熱することはなく、

再起をかけた挑んだターミネーター3も失敗し、*1

打つ手のなくなったシュワは第三のキャリアとして画策していた「政界進出」を目論みます。

 

奥様であるマリアシュヴァイツアーの助けもあり、見事、カリフォルニア州知事に当選。

知事人生がスタートします。

 

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その後、知事の任期満了間近に、シュワの隠し子騒動がスタート。

シュワの地位と名誉は一気に地へと落ちます。

そんなシュワを引っ張り出し、銀幕の世界へカムバックさせたのがスタローン。

映画のタイトルは「エクスペンダブルス2」です。

 

当時、シュワの銀幕復帰を飛び上がって喜び、エクスペンダブルス2を観に劇場へ走った私。

捨てセリフは相変わらずシビれたし、映画自体は楽しかったのですが、

衰えた筋肉とおじいちゃんな表情に、一抹の物悲しさを覚えたのも事実でした。

 

「シュワも年老いていくのか……」

 

という私の懸念は、次の主演作で吹っ飛ばされることになります。

 

ラストスタンド シュワ完全復活!

 

本作、私にとってはラストアクションヒーローの次に好きな映画です。

これはもう、最高です。

 

 

ロサンゼルス市警の敏腕刑事として活躍していたオーウェンズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、今では第一線を退き、メキシコとの国境に近い田舎町で保安官を務めていた。そんなある日、逃走した警官殺しの凶悪犯が町に向かっているとの知らせが入り、警察やFBIの応援も間に合わないと知ったオーウェンズは、戦闘経験のない部下や町の仲間、銃器オタクらでチームを組んで凶悪犯を迎え撃つ。( 映画.comより引用 )

 

イーストウッドになったシュワ

 

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前半はのんびりとした田舎町の、他愛もない住民と警察同氏のやり取りが続きます。

この町のなかでシュワは「お人好しおじいちゃん保安官。

気さくな笑みで町の人気者。部下からも頼りにされています。

 

ここのシュワの佇まいがまるでイーストウッドのよう。

色んな経験を積んできたからこその貫禄ある表情と、どこか哀愁漂う背中。

長年彼が抱いてきた、重厚かつ深みある演技を見事に成功させています。

 

そこから中盤、部下が敵に殺害され、復讐を誓うシュワと田舎保安官たちは、あらゆる策略を計画し、強敵に立ち向かいます。

 

「地獄の園へようこそ」

 

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※以下、本作のネタバレを含んでいきます。

 

田舎町の大通りに、真っ黒な車が数台、停まります。

なかから武装した数名の敵が現れ、周囲を見渡します。

 

その時、買い物帰りの女性が、歩道をゆっくり歩いてきます。

 

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敵は「イイケツしてるなあ……」と呟き、銃口を彼女に向けます。

 

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「危ないッ!」そう感じた保安官のフィギーは一人、敵に応戦。

 

しかし、巨大ミサイル砲を放たれ、爆発とともにフィギーは煙のなかへ。

 

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フィギー……死んでしまった……

 

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と思いきや、

煙のなかに落ちたカウボーイハットを拾う男の手。

 

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次の瞬間。

煙のなかからマシンガンを持ったフィギーが登場。

 

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敵に銃弾をぶっぱなちます。

 

そして、フィギーの背後からバスが勢いよく突進。

バスの後部が敵側に向き、後部扉が勢いよく開き、シュワがなかから登場。

 

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マシンガンを打ち放った後、シュワがニヤリと笑い一言。

 

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地獄の園へようこそ*2

 

終わってないぞ!

 

何だかんだすったもんだあった後、

命からがら逃げのびた最大の敵・コルテス。

 

メキシコへ逃亡しようと箸を渡りますが、橋の先に待ち受けていたのは、

傷だらけの身体で立つ、シュワルツェネッガー

 

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シュワは手錠を放り投げ、こう言います。

「自分でつけろ。イヤなら、俺が」

コルテスは笑みを浮かべ、

「年寄りがイキがんなって。あんたらはもうとっくに終わってるが、俺はまだまだこれからだ」

と言い、シュワに襲い掛かるコルテス。

シュワはコルテスを投げ飛ばし、こう言い放ちます。

終わってないぞ!

 

ここから二人のタイマンアクションが始まります。

 

それまでのシュワ映画だと、屈強なシュワの身体や存在から、

「まー、シュワが勝つだろ……」

と、タカをくくった状態で観るわけですが、

今回のシュワは、屈強な身体とはいえおじいちゃん。一方の敵は若造。

血まみれになりながら必死に戦うシュワ。応戦する若造。

どっちが勝つかわからない、息もつかせぬ展開が続きます。

 

「違法駐車は高くつくもんです」

 

一方の田舎町では、ロス警察のパトカー数台がやって来ていました。

街のしょぼくれた警官たちと見くびっていたロス警察は、田舎警察の活躍に驚きます。

そして、肝心のコルテスはどこか、とロス警は尋ねます。

 

そこに、大通りの奥から、ボロボロになったオープンカーが現れます。

 

運転席には、微笑むシュワ。

車の後ろには、縄でつながれたコルテスの姿が。

 

ロス警察はシュワたちを讃え、コルテスを連れて田舎町を去ります。

 

シュワたち保安官が署内へ戻ろうとすると、

「おい!」と呼びかける声が。

振り返ると、困惑顔の町長の姿が。

「ワシの車、どうなってるんだ!」

町長が指差す先には、先程のボロボロになったオープンカー。

シュワは、車のキーを町長に投げ、こう告げます。

 

「違法駐車は高くつくもんです。お気をつけて」

 

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シビれる大名作。しかし評判は……

 

以上のように、シビれる台詞が連発する本作。

シュワ映画の魅力が詰まった、大名作でした。

 

しかしながら、興行的には米国では微妙な結果に。(日本では大ヒットを記録しました)

評価も、可もなく不可もなし、といったものでした。

その背景としては、それ以前の作品群が下火傾向だったことや、隠し子騒動で人気と地位が急降下したことが挙げられます。

 

ともあれ本格復帰を果たしたシュワ。

その後、数々の作品へ出演することとなります。

 

 

というわけで次回最終章であるVol.4では復帰から現在を書いています↓

 

 

ではまた!

*1:  

*2: 吹き替えは「ソマートンへようこそ」。原語も「ウェルカムトゥソマートン」です。ソマートンとはシュワたちがいる田舎町の名前です。 

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